パソコンの二極化 2009 2 11
パソコンがインターネットの端末になった以上、
消費者は、こう考えるかもしれません。
「インターネットを見るだけなら、
高速なCPUは不要、
ハードディスクも不要。
インターネット上に自分用のデータ保管場所があるから。
OSもなんだっていい。
要するに、インターネットを見ることができればよい」
おそらく、一般的な消費者のパソコン利用は、
普段はインターネットを見て、年末になると年賀状作成ぐらいでしょう。
こういう利用形態ならば、高速なCPUは不要、
大容量ハードディスクも不要となるでしょう。
要するに、一世代前のパソコンで用が足りるのです。
実は、私も、似たような状態です。
数年前、OS(ウィンドウズ)しか入っていないパソコンを買いました。
当初は、一般的なソフトウェアが全く入っていないので、不安を感じましたが、
結局、これで問題がなかったのです。
私が運営しているサイトは、文字データだけで12MB以上もありますが、
これは、全部、ウィンドウズに付属している「メモ帳」で書いたのです。
この「メモ帳」というソフト(テキストエディタ)は、
シンプルで軽くて、実に便利です。
だから、文章を書こうと思ったら、すぐ「メモ帳」を立ち上げます。
「メモ帳」で、文字を12MBも書いたのです。
さすがに、ホームページの編集は、「メモ帳」ではできませんので、
ホームページ編集ソフトウェアを使っています。
そういうわけで、今後、パソコンは、
軽装備なものになっていくかもません。
パソコンがマニアのものではなく、一般大衆のものになった以上、
つまり、パソコンが日用品になった以上、こうした流れは避けられないと思います。
さて、これでは困る人たちもいます。
画像編集や動画編集をパソコンで行う人たちです。
こうしたヘビーユーザー向けのパソコンも必要でしょう。
それから、会社では、オフィスソフトが必要となりますので、
パソコンは、三極化するかもしれません。
家庭用、ヘビーユーザー用、会社用。
再び端末化 2009 2 8
今日は、昔のコンピューター事情の話から始めましょう。
これは、今から20年以上前のことです。
当時は、マシン室(マシーン室)と端末室がありました。
マシン室には、まるで大型冷蔵庫のようなコンピューターがあり(汎用コンピューター)、
同じく、大型冷蔵庫のような磁気ディスク装置や、
軽自動車のような大きさのラインプリンターもありました。
端末室は、どうかというと、
現代の人から見ると、まるで数十台のパソコンが並んでいるように見えますが、
実は、あくまでも汎用コンピューターの端末であり、
正確に言うと、汎用コンピューターへの入力装置だったのです。
この端末を使って、汎用コンピューターを操作したり、データを入力したり、
あるいは、プログラム開発をしたのです。
当時のプログラム言語は、COBOLとFORTRANでした。
時代の流れと技術の進歩により、
端末室にあった入力装置が分離独立するようになりました。
今から見れば、貧弱なCPU(8ビットや16ビット)、
貧弱なハードディスク装置、
いや、当時は、ハードディスク装置が高価な装置だったので、
多くのパソコンにはハードディスクがついてなくて、
フロッピーディスク装置で代用していました。
それでも、こうした入力装置(端末)は、
汎用コンピューターから分離独立ができて、うれしそうでした。
ニックネームまでついてしまいました。
マイコン(マイコンピューター)、
あるいはパソコン(パーソナルコンピューター)。
やがて、こうしたパソコンは、全盛時代を迎えます。
使いやすいOSの登場(ウィンドウズ95、ウィンドウズ98、ウィンドウズXPなど)。
ひたすら安くなると同時に、ひたすら容量が大きくなったハードディスク装置。
CPUに至っては、昔のスーパーコンピューターを超えるものとなりました。
もはや、大型コンピューターは不要と言われるまでになったのです。
しかし、これが、パソコンの命取りになったかもしれません。
消費者から見れば、せいぜい、インターネットやワープロにしか使わないのに、
そんな超高性能なCPUや、
容量が無限大と思えるハードディスクは不要と思うようになったのです。
メーカー側からしてみれば、毎年、CPUやハードディスクが高性能化し、
その都度、新製品を発売するから、
消費者も、その都度、買い換えてほしいと思っているでしょうが、
消費者としては、インターネットやワープロをするには、
一世代前のパソコンでも十分と考えるようになったのです。
同時に、パソコンの独立王国には、懸念が出てきたのです。
インターネットの普及により、
再び、大型コンピューターにつながれる可能性が出てきたのです。
最初は、低速インターネットだから(ダイヤルアップで、その都度、接続)、
あくまでも、パソコンにとっては、インターネットは補助的なものと安心していたら、
あっという間に、ADSLや光ファイバーの普及により(大容量で常時接続)、
インターネットが主役になってしまったのです。
インターネットには、何でもあります。
辞書、地図、あるいはワープロもあれば表計算ソフトもあるようになったのです。
つまり、インターネットそのものが、コンピューターに見えるようになったのです。
こうなると、パソコンは端末のようなものだから、
CPUは早くなくてもいいし、ハードディスクがついてなくでも問題ないということになります。
(インターネットには、自分専用のデータの保管場所もあります)
再び、パソコンは、端末化してしまうかもしれません。
だから、最近は、5万円ノートパソコンなど、軽装備なパソコンが売れています。
もちろん、世の中、不景気なせいもありますが、
パソコンがインターネットの端末化し、シンプル化することは避けられないと思います。
インターネットの端末になってしまった以上、パソコンには、
高性能なCPUは不要、ハードディスク装置は不要、
ワープロや表計算ソフトも不要(インターネット上にあるから。ただし、まだ発展途上の段階かも)、
OSも、どういうOSでもOK(インターネットから見れば、パソコンは単なる端末に過ぎないから)、
そういう流れになっていくかもしれません。
書名 クラウド・コンピューティング
著者 西田 宗千佳 朝日新書